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yyh-gl's Tech Blog

技術ネタ中心のブログです。主な扱いはバックエンド技術と設計です。

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概要

今回は、広木 大地さんが書かれた 『エンジニアリング組織論への招待 不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング』 という本から、

2章「メンタリングの技術」についてまとめます。

(初投稿の内容が技術系じゃなくてチームマネジメント系かよとか言わないでくださいね)

最初に覚えておいてほしいこと

メンタリングは、自律的な人材を育むために行う。

そのために、下記3点の状態にメンティ自身からなれるように導く。

  • 自分の気がつかなかった問題に気がつくようになる
  • 認知の歪みによる感情と問題の癒着を切り離せる
  • 答えではなく、次の一手を生み出す行動が取れるようになる

これらがとても重要です。

以下いろいろな話が出てきますが、結局は上記3点の状態を実現するための方法です。

ここをしっかりと意識して読んでいただければ、

より一層理解が深まると思います。


以下まとめ (★マークは個人的解釈・感想です)

そもそもメンタリングとは

  • 相手を上から押し付けるような教育方法ではない
  • 相手の考え方を少しずつ変えることで、問題解決の力を育む手法

対話を通じて、以下の2点を行い、相手を成長させる。

  • 歪んだ認知を補正
  • 次の行動を促進

メンタリングと聞くと、

大学で何年も学ばないと身に着けられないような技術であると思いがちだが、

体得すればだれでもできるようになる。

エンジニアリングにおけるメンタリングの重要性

エンジニアリングは知識が全てではない

エンジニアリングでは技術的な課題がよく取り上げられるが、

技術的な課題というのは心理的な課題と密接に関係している。

例えば、

  • ソフトウェア開発はチームプレイ

★ 技術的な課題解決だけでなく、人間関係とかもあるってことかな

  • 各個人の開発における問題解決は、自分自身との対話によって制御するもの

★ 自身を制すものがエラーを制す

上記のようにエンジニアリングには心理的な課題も存在する。

プロダクト開発では 不確実性を排除する ことがとても重要である。

したがって、不確実性のひとつである心理的な課題は排除すべき対象である。

★ だから、メンタリングが重要なんですね。


メンタリングは 自ら考える人材を作る ためのテクニック

自立型人材と依存型人材

自ら考える人材を自立型人材、そうでない人材を依存型人材とすると、

それぞれ下記のような特徴がある。

  • 自立型人材
    • 自ら問題を発見し、解決することができる
    • 問題について、自分ごととして捉えている
    • 問題の根本的原因は自分にあると考える
      • 改善のために行動できる
  • 依存型人材
    • 問題を与えられてから考える
    • 問題と解決策を渡されてから動ける
    • 問題の根本的原因は他人にあると考える
      • 改善のために行動できず、他人のせいにしてしまう

両人材の境界線

多くの人は時には自立型人材、しかし、ある場面では依存型人材になってしまう。

それが普通である。

大事なのは、 上司と部下という関係における期待値を合わせておくこと

つまり、上司が 「ここまでは自律的に考えるのが自分の仕事だ」と考える期待値と、

部下の「ここまでは自律的に考えるのが自分の仕事だ」と考える2つの期待値が一致させておくことが重要ということ。

★ 自分的にはここがとても大事だと思った。全部自律的に考えるなんて無理だと思う。人間だもの。でも、上司と部下、さらには企業と社員の関係性はこの期待値を合わせることがとても重要だと思う。

したがって、2つの期待値に差異があるままに、

上司は部下を自律的でないと判断するのは誤っているし、

部下も上司を理不尽なことを言う人と判断してはいけない。

コンフォートゾーン

人は与えられた役割に対して、自分の思考を閉じてしまうという特徴を持つ。

そして、与えられた役割の中で、自分自身が心地よくいられる思考や行動の範囲のことを

コンフォートゾーンという。

例えば、与えられた仕事は自律的に完璧にこなす人も、

選挙は他の人が投票してくれるからいいやと依存的になるなど。

★ 難しいことを言っているように聞こえるが、 結局のところ、自分の役職や割り当てられたタスクの範囲内の仕事はしっかりとやるが、 範囲外のところに関しては一切やらない、ってことだと思う。

人はコンフォートゾーンをなかなか変えることができない。

コンフォートゾーンが変わる瞬間

自立型 → 依存型

例えば、自律的にいろいろな提案をして熱意に燃えていた人が、

何度も提案を却下され、熱意を失い、

最終的に何をしても無駄だと考えるようになった結果、

依存型人材になることが考えられる。

このように負のフィードバックリサイクルの結果、

生まれてしまう無気力を「学習性無気力」という。

依存型 → 自立型

逆に、自ら動いた結果、評価されたり、周囲からの尊敬を集めるなど、

正のフィードバックの中に「自律的に動くことは楽しい」といった気持ちが芽生え、

自立型人材になることが考えられる。

このとき感じた「自律的に動くことは楽しい」という気持ちを「自己効力感」という。

★ つまり、正のフィードバックサイクルがしっかりと回れば、自立型人材が増えてくるのか…どうすれば正のフィードバックサイクルを回せれるようになるんだろう。

無意識に可能性を狭めてしまう人々

人は誰しも自分自身の思考の範囲を無意識に狭めてしまい、

その結果最適な解決策が見えなくなってしまう。

すなわち、閉じた世界の中での合理性(限定合理性)に人々は縛られている。

人は閉じた世界の中で考えることは「心地よい」と考える

★ 与えられた仕事以外に変に手を出したら、やっかいごとが増えるし、 だったら、何もしないでおこうってなるよね

メンタリングによる世界(可能性)の拡張

メンタリングとは、対話によって思考の範囲を限定する枠を取り外し、

その人が自らの力で問題解決できるように促す方法である。

メンタリングを行う人は、自律的な思考を行うことの快感(自己効力感)が、

依存的な思考を行う快感(コンフォートゾーン)を上回るように導く。

効果的なメンターとメンティの関係性

メンター:メンタリングする人

メンティ:メンタリングを受ける人

以下の3点が守れている上で行うメンタリングが最も効果的

(頭文字をとって HRT(ハート)と呼ばれる)

  • 謙虚(Humility):お互いに弱さを見せられる
  • 敬意(Respect):お互いに敬意を持っている
  • 信頼(Trust):お互いにメンティ(自身)の成長期待をもっている

形だけのメンタリング制度は不要

形だけのメンタリングは、

メンターが「なにか課題を指摘する」場になってしまうことが多い。

理想のメンタリングは、課題に一緒に向き合い成長を支援するというコミットが必要。

それがメンティに伝わらなければ、メンター自体が成長を阻害する可能性が出てくる。

成長の手助けにおいて重要なこと

メンターがメンティの成長を手助けするためには、次の3点をしっかりやることが必要。

  • 課題を認識させる
    • 「課題があるよ」ではなく、「これは大丈夫?」と聞くことで、メンティ自身に課題を発見させる
  • 課題解決へのヒントを与える
    • 課題解決までの道のりを一気にではなく、一歩ずつ確実に歩いている実感を与える
  • 課題解決したくなるようにする
    • 小さな成長実感に加えて、大きな目標達成やゴールの認識を合わせる

他者説得 ではなく 自己説得

メンタリングとティーチング(直接物事を教えること)を比べて優れている点は、

メンティに応用力がつくことである。

メンタリングでは、メンティが考え、自ら知識を獲得しることを促すため、応用力が身につく。

よって、メンタリングは人に与えられた説得による知識(他者説得)よりも、

自ら気づいたこと(自己説得)を重視する。

メンターによる自己説得の促進

メンターは答えを言うのではなく質問を繰り返す。

そして、それらの質問からメンティ自身が答えを導き出す。

これが重要。

「考える」と「悩む」の違い

「考える」と「悩む」はどちらも問題に直面しているときに起こる行動であるが以下のような違いがある。

考える

問題に対して「次にやるべき行動」がはっきりしているため、

ホワイトボードに課題を書き出し頭を整理するなどといった問題解決のための行動を取ることができる。

悩む

問題に対して「次にやるべき行動」がはっきりしていないため、

基本的には手が止まってしまう。

手が止まっている状況が続くようであれば、それは悩んでいる人である。

メンティが行動できていないときに、

メンターは 「悩み」を聞き出し、気づきを促して「考える」に変える 必要がある。

メンタリングの基本技術 「傾聴」

よく悩み相談で「話したらすっきりした」という感想がでるのは、

人が話をするときは、必ず話すことを整理する必要があるため、

人に話すことで自然と頭の中が整理できるからである。

つまり、何に困っているのかが明確になり、次にやるべきことが見えてくる。

★「悩む」から「考える」に変わるということですね。

もしかして、悩み相談ってメンタリングしてるだけ…?

傾聴

悩み相談の例のように、人の話を聞いてあげることで、その人の問題を解決することが可能。

しかし、「ただ話を聞くこと」と「傾聴」には違いがある。

  • ただ話を聞くこと

    • 特に目的というものはなく、自分の意識を出してしまいがち
      • 自分の意見を言う
      • 自分の興味のあることを質問する
      • 自分に興味のないことには興味がなさそうな素振りをする
  • 傾聴

    • 相手の思考が整理され、前向きに考えられるように支援することが目的
      • 相手の感情への共感を言動で表す
      • 相手の話の内容を可視化する
      • 相手の思考の盲点を探索しながら質問をする

話を聞くのが上手い人とは、 相手の立場になって話を聞くことができる真摯さがある人です。

傾聴で重要な要素

  • しぐさ・うなずき・座り方
  • 表情
  • あいづち
  • 気が付かない信号を指摘してもらう (★ 細かな気遣いをしようってことですかね)
    • PCでメモを取る前に一言いっておくなど

共感と同感の違い

同感は相手と同じ気持ちになること。

共感とは相手を理解すること。

傾聴で重要なのは共感であり、「なるほど、だからあなたは今そのような感情なのですね」と

相手を理解してあげることが大事。

★ めちゃくちゃなるほどって思った。

確かに話を聞くのがうまい人はよく共感してくれる。

問題の可視化と明晰化

問題の可視化と明晰化は、メンターとメンティの対話を通じて、

簡単な問題に変換するためのテクニックである。

可視化

傾聴によりある程度問題の形が見えてきたら、次は問題を可視化する。

問題の可視化により、メンティは自分が抱えている問題を客観視することができる。

明晰化

可視化の過程で、感情的に固執してしまっている要素を引き剥がし、

本来の問題が何であるのかをはっきりさせる。

可視化と明晰化のテクニック

・ 事実と意見を分ける

可視化対象は事実だけでよい

・ フォーカスポイントを作る

難しい問題も問題の範囲を限定し、ひとつずつ対処していく

・ 比較可能な問題に変換

複数の選択肢がある場合に「比較する軸」を示してあげることで、解決可能な問題に変える

認知フレームとリフレミング

認知フレーム

人は物事を認知する枠組みを持っており、その枠組の中でしか情報を処理できない。

例えば、家の鍵をなくしたとき。本当はポケットに入っているのに、焦りから見つけることができない。

このような認知の枠組みを 認知フレーム という。

この認知フレームが邪魔して、問題を解けない問題化してしまう人が多い。

このようなときには、後述するリフレミングにより認知フレームを変える必要がある。

★ 認知フレームを変えることで、「解けない問題」を「解ける問題」に変換可能

リフレミング

認知フレームは簡単に変えることが可能である。

例えば、先ほどの鍵をなくしたときの例で、鍵が緑色だとしたら、

「今、あなたの周りにある緑色のものを探してください」といえば、

さっきまで気にしていなかった緑色のものが目に入ってくるようになり、鍵が見つかるだろう。

このように、対話によって認知フレームは変えることが可能であり、

対話による認知フレームの変更をリフレーミングという。

情報の非対称性の解消

情報の非対称性とは下記のような状況のことをいう。

  • 自分は分かっているが、相手は分かっていない
  • 相手は分かっているかもしれないけど、自分はわかっていない

これを解消するには、

  • 自分が持つ情報を相手に伝える
  • 相手が持つ情報を自分が聞く

ということをしっかりする。

(上記の行動はあたりまえのことですが、

「上司は優秀な人だから分かっているに違いない」といった認知フレームが邪魔してなかなかできません。)

課題の分離

1つの課題に見えても、本当は複数の課題の集合体であることがある。

このときメンターはメンティの思考の範囲をクリアに限定してあげる。

つまり、うまく問題を分割してあげることが大事

心理的安全性

心理的安全性とは

下記2つが守られている状況

  • 対人リスクを取っても問題ないという信念がチームで共有されている
  • 自分のキャリアやステータス、セルフイメージにネガティブな影響を与える恐れがなく、自分を表現し働くことができる

★ 対人リスクを積極的に取れる環境が大事なんですね

メンタリングを行ううえで、メンターとメンティ間の心理的安全性はとても重要。

心理的安全性が高まるとどうなるのか

心理的安全性を高めると次のような影響がチームに現れる。

  • 率直に話すようになる
  • 考えが明晰になる
  • 意義ある対立が後押しされる
  • 失敗が緩和される
    • 失敗の報告がしやすくなる
  • イノベーションが促される
    • 今までの前提にとらわれず、創造的な意見が出る
  • 組織内の障害でなく目標に集中できるようになる
    • 組織内の理不尽を気にする必要がなくなる
  • 責任感が向上する

心理的安全性と責任


メンタリングにおいて重要なのは ラーニングゾーン である。

ラーニングゾーンとは、対人リスクを取りつつ、発展的議論ができる状況。

メンターはメンティをラーニングゾーンに導くことが大事。

自己主張と同調圧力

アメリカでは、初頭教育から自己主張をしっかりすることが推奨されており、

自分の考えをしっかりと話す週間が身についている。

一方で、日本はできる限り周囲と同調しようとする。

つまり、同調圧力が強い民族である。

同調圧力の強いグループでは、意見が対立することを「仲が悪い」と捉えがちである。

このような雰囲気が蔓延すると、心理的安全性を脅かさないために意見を殺してしまう。

このような状況は生産性が下がってしまう原因になりがちなので改善が必要である。

★ 日本人には同調圧力がしみついてしまっているから、この雰囲気を取り除くのはとても難しそう

メンタリングにおける心理的安全性

メンターとメンティは心理的安全性が高い、

つまり対人リスクを積極的に取れる関係性であることが望ましい。

したがって、メンタリングを効果的にするために下記のことを実施する。

  • メンティの弱さ、メンティの失敗を開示してもらう
  • メンターの弱さ、メンターの失敗を開示する

メンターは完璧な人間じゃなくてよい。

「こういう失敗をしたけど、そこからこういうことを学び、こうしたらうまくいって成長できた」

という姿を見せればよい。

このような見せ方(伝え方)を ストーリーテリング という。

アクノレッジメント(承認)

メンターはメンティを「承認」してあげることが大事。

承認とは、メンティがした行動に対して、理解し、受け入れ、感謝を伝えることであり、

褒めることではない

アクノレッジメントの種類

  • 存在承認
    • 相手の存在を承認する(例:あいさつ や 頑張っている様子を見て、肩を叩いて励ます など)
    • 傾聴も相手の存在を承認するひとつの方法
  • 行動承認
    • 行動に対して承認する(例:「結論から話すようになった」と言う)
  • 結果承認
    • 「褒める」に近いが、より広い範囲で承認を捉えて伝える(例:「〜〜はすごい成果だね」と言う)

つまり、あいさつや無視しない、感謝を伝えるなどといった当たり前のことしかない。

当たり前をきちんとしようという話。

結果が出ないと承認できない?

「結果が出ないと承認できない」というのは間違いである。

結果よりも行動、行動だけでなく存在への承認が重要。


ストーリーテリング

ストーリーテリングの定義を明文化すると、メンターからメンティに対しての自己開示と表現できる。

ストーリーテリングで重要なのは、メンティに「メンターも自分と同じ人間である」という理解を獲得すること。

ストーリーテリングの注意点

過去の自慢話にならないようにする。

そのために、以下のことをしっかりとやる。

  • 包み隠さず事実を伝える
  • その時の感情を伝える
  • 伝えたい価値観を明確にする
  • 返報性の原理を利用する
    • 返報性原理:相手になにか施してもらったら、それに対して自分も何かお返しをしたくなる心理
    • メンターは自己開示することで、メンティが自己開示したくなるようにする

★ 自己開示って自慢話(武勇伝)になりがちだから気をつけないと

「Youメッセージ」と「Iメッセージ」

Youメッセージとは、主語が「あなた」のメッセージ。

Iメッセージとは、主語が「わたし」のメッセージ。

Youメッセージは相手に誤解を生みやすいメッセージである。

例えば、「なぜ(あなたは)遅れたの?」と伝えたときに、

限外に「なぜ説明もなく遅れたの?」と責めるようなニュアンスが生まれてしまう。

これをIメッセージに変えると、「連絡がなかったから、(わたしは)心配したよ」となり、

責めるニュアンスは減り、存在を承認している。

ジョハリの窓



成長とは開放の窓を広げる(つまり、未知の窓=自分に出会う)こと。

メンティはフィードバックを受けることで、

盲点の窓(自分が分かっていないこと)を開放の窓(自分が分かっていること)に変えることが可能。

さらに、メンティの自己開示により秘密の窓(自分だけが分かっていること)を

盲点の窓(自分も他人も分かっていること)にに変えることが可能。

メンターは「ストーリーテリング」や「アクノレッジメント」、

「傾聴」、「リフレーミング」により、メンティがフィードバックを受けやすく、

自己開示された状態へと導く。

内心は見えないが、行動は見える

メンタリングの最終工程は「これからどうするか」である。

そのときに注意すべきは、内心的な要素を介入させないことである。

他人の内心は絶対に見えないので、内心からその人が次の目標に向けたアクションを

ちゃんと起こせているかなんてことは絶対に判断できない。

大事なのは次の目標に向けて 行動を起こせているか である。

したがって、メンターは 次の行動を促す ような指導をしなければいけない。

★ 内心は見えない。まさにそのとおり。でも、現代にはまだまだ根性論とか存在しますよね。気をつけないと。

SMARTな行動

「これからどうするか」について、メンターとメンティの認識を合わせる必要がある。

このとき注意すべきなのが、

「自分の言葉は自分の思ったように相手に伝わっているはず」と思わないことである。

絶対に正しく伝わらない。

メンターとメンティ間で認識の差異を生まないためには、SMART原則 を意識するとよい。

  • Specific(具体的な):抽象的な表現は使わない
  • Measureable(測定可能な):次の行動が行われたかどうか、どのように確認するか決める
  • Achievable(到達可能な):達成可能な目標だけを設定する
  • Related(関連した):メンティの課題と目標行動の関係性をメンティ自身が説明できるようにする
  • Time-Bound(時間制限のある):期限を定める

能力と習慣をコントロールする



人の成長は上図のように「行動・習慣・能力・成果」の4つの事柄のループである。

この4つの要素のうち基本的にコントロールできるのは「行動と習慣」のみである。

したがって、メンタリングでは行動と習慣の成長を促す。

★ 行動が習慣化するところまで見てあげることが大事なんですね

成長は行動変化の先にある

結局のところ成長は行動しないと起き得ない。

では、なぜ行動できないのか。

それは「行動を促進する力」より「行動を阻害する力」が勝っているからである。

メンターは行動を促進する力を強めるために下記のような行動を行うべきである。

  • フィードバックの機会を増やす
  • 適切に承認する
  • 「行動を阻害する要因」は環境や構造を変えるための行動に変換してあげる

適切な目標を決める

  • 自分の気がつかなかった問題に気がつくようになる
  • 認知の歪みによる感情と問題の癒着を切り離せる
  • 答えではなく、次の一手を生み出す行動が取れるようになる

メンタリングのゴールである上記3点の状態に導くためには、

適切なゴール設定が必要である。

ゴールを設定することで、認知フレームに変化が起き、見えなかったものが見えてくる。

ただし、闇雲にゴールを決めればよいわけではない。

後述するゴールのレベルが伴っていないといけない。

ゴールのレベル

ゴールには下記のとおりレベルがある。

  • レベル0 願望:漠然と思っているレベルのゴール
    • 例:お金持ちだったらなぁ
  • レベル1 義務:達成しなければならないと誰かに押し付けられたゴール
    • 例:お金持ちにならないといけない
  • レベル2 欲求:達成したいと自分で思って決めたゴール
    • 例:お金持ちになりたい
  • レベル3 意思:達成しようと決意をもって決めたゴール
    • 例:お金持ちになるぞ
  • レベル4 必然:達成しているという確信をもって行動できているゴール
    • 例:お金持ちになっている

はじめは漠然とした夢であっても、レベルが上がっていくとともに

夢がはっきりとし、次に取るべき行動が明確になってくる。

レベル3では行動が変わり始める。

レベル4まで上がってくると、継続的な行動、つまり習慣が変化し始める。

メンターはレベルを上げる手助けを行う。

セルフマスタリー

ゴールの設定、すなわち、未来の自分を設定し、

未来の自分から見て自身をメンタリングすることを「セルフマスタリー」という。

つまり、将来の自分から見て、今の自分に足りないものを見つけ、

そこを補うように行動することである。

メンタリングは、このセルフマスタリーを会得することで完結する。

メンティがセルフマスタリーを会得すれば、もうメンターは必要ない。

自走可能=自立可能な人材の誕生である。


以下感想

結局のところ、人が成長するにはその人自身が行動を起こすしかないわけですが、

「じゃあどうやって行動を促すのか」といったことはあまり考えたことがありませんでした。

本書は、論理的にどうやって行動を起こせるように導くのか、

その手法を事細かに説明されており、説得力のある内容でした。

今回は2章の「メンタリングの技術」だけを読みましたが、

今後他の章に関してもまとめて記事にしたいと思います。

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東京で働くソフトウェアエンジニアです。バックエンドがメインですが、フロントエンドやインフラもさわっています。